東京の白百合女子大学で開催された日本老年行動学会でワークショップに登壇しました。
心理学の研究職から高齢者ケアに携わる介護職・医療職など多職種が参加する学会で、応用行動分析についてご指導いただいた心理学講座の先生からお声かけいただき参加させていただくことになりました。
認知症の家族介護者の支援ニーズに応じた「きめの細かいケア」を考えるというテーマで、Google Formを活用して参加者との議論を行うワークショップでしたが、私は話題提供として「受容と依存から紐解く介護者支援」というタイトルでお話しさせていただきました。
多くのBPSD(認知症の行動・心理症状)が家族・介護者の関わり次第で良くも悪くもなることや、応用行動分析を活用して薬物療法と非薬物療法の要否を検討する治療戦略を紹介しました。また、BPSDを予防するために早期から家族支援が必要だろうということも提唱しました。認知症の疾患修飾薬の普及に伴い、これまで「まだ認知症ではない」と判断され医療や介護の枠組みからこぼれ落ちていた軽度認知障害(認知症予備軍)の患者さんに医療がコミットできるようになります。早期治療と並行して、早い時期から家族がご本人の病状に応じて対応を見直すことで、BPSDに悩まされず穏やかな生活を続けられるよう支援できる基盤が整うことを期待しています。