老年心療内科
応用行動分析
薬に頼らずBPSD(行動・心理症状)をやわらげる
すべての「行動」には「きっかけ」があります。行動のあとに起こる「結果」によって、その行動が繰り返されたり、その行動を避けるようになります。応用行動分析は、そうした要素・関連性を分析して、望ましい行動を増やしたり、不適切な行動を減らしたりすることで、適切な対応を導き出します。
応用行動分析は治療だけでなく、教育、コンサルティング、スポーツ、リハビリなど、幅広い分野で活用されており、特に自閉スペクトラム症(発達障害)と呼ばれる得意・不得意のバラツキが大きい子どもたちの療育で効果をあげてきました。BPSD(認知症の行動・心理症状)に対して、もっとも推奨される治療法とされています。
嫉妬妄想とはなんの根拠もなく妻(もしくは夫)が不貞をはたらいていると思い込んでしまう症状です。ここでは嫉妬妄想を必死に否定したり、相手の怒りをいなすための決して健康とは言えないやりとりですら、本人にとっては一種の好ましい状況(会話がないよりマシ)になっています。
このような状況では、多くの方が「また妄想を言われると困るから」と、本人との関わりを避けるようになって悪循環に陥りますが、むしろ問題となる行動(嫉妬妄想)がないときほど本人に声をかけるようにすることで望ましい行動(健康な交流)が増え、結果として嫉妬妄想が減ることが期待されます。
逆に、行動の前後で状況が悪化する場合には"望まれる行動が減る"というメカニズムで問題になることがあります。トイレや入浴の促しに応じると悪い状況になる、という関連性(随伴性)が形成されると、望まれる行動を拒否するようになり、いわゆる介護抵抗につながります。この傾向は認知症や難聴のために介護者の説明がきちんと伝わっていない場合は特に顕著です。
応用行動分析では行動(BPSD)の前後の関連性を評価した上で、BPSDそのものを抑え込むのではなく、より適応的・健康的な代替行動にシフトさせることで結果として問題となる行動・症状を減らせるよう働きかけます。ご本人の能力やこれまでの生活スタイル・性格傾向、ご家族・介護者の実現可能な関わり、すべてを考慮して穏やかな生活を取り戻すための最適解を提案します。
老年心療内科
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BPSD(認知症の行動・心理症状)とは
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