fbpx

老年心療内科

BPSDの薬物療法

薬の治療が必要な症状を見極める

認知症の行動・心理症状(BPSD)に対してはガイドラインでも非薬物療法(薬以外の治療法)を優先するよう推奨されています。高齢の認知症の患者さんに抗精神病薬(安定剤・鎮静剤)を投与すると死亡率が1.6〜1.7倍ほど高くなり、転倒や骨折のリスクも高まるため注意を要する、という警告も出されています。もちろん安易にBPSDに対して薬物療法を行うことはあってはいけませんが、実際に認知症診療(特にBPSDの治療)にあたっている専門医にとって薬を使わざるを得ない状況は決して稀ではありません。

当院では応用行動分析を用いて高齢者が抱える問題行動を評価し、「薬を使わなくても良くなりそうな症状」と「薬を使わざるを得ない症状」を見極めるよう心がけています。一般的に状況依存性が高いBPSD(問題行動が起きる環境や状況に一貫性がある場合)は、応用行動分析に基づくケアを取り入れることで薬を使わずに状況は好転します(「BPSDのきっかけはありません」と言われる方でも、多くの場合"きっかけに気付けていないだけ"なので注意が必要です)。一方、状況依存性が低く、現在の生活に大きな支障となっているBPSDに対しては、リスクを考慮した上でためらうことなく投薬治療を行います。

「薬は悪、献身的なケアが善」という極論も実際的ではありませんが、やみくもに問題行動を薬で抑え込むのは決して許容されることではありません。BPSDの治療に薬を使うことが心配な方も、本当は薬が必要な症状なのに十分な治療が行われず困っておられる方も、ぜひご相談にお越しください。